令和6年度から義務化!全介護施設が取り組むべき高齢者虐待防止対策とは?

令和3年度より3年間経過措置期間とされていた「高齢者虐待防止措置」が、
令和6年4月1日から全介護施設で義務化されました。
虐待防止措置の実施をしておらず違反した場合は、
基本報酬が減算されるなどの規定があるため、注意が必要です。
義務化される背景には、
高齢化の加速と、それに伴う介護の質の向上が求められている現状があります。
その内容について詳しく説明します。
1. 背景と目的

日本における高齢者人口の増加と共に、介護施設における高齢者虐待が社会問題として浮上しています。
身体的・心理的虐待、経済的搾取、ネグレクトなど、様々な形態の虐待が報告されており、これに対応するために厚生労働省は全介護施設での虐待防止推進を義務化しました。
2. 高齢者虐待とは
厚生労働省は養護者(高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のもの)や
養介護施設従事者等による次の行為が高齢者虐待と定義しています。
高齢者虐待にあたる行為
・身体的虐待:
高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
・介護・世話の放棄・放任:
高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、
養護者以外の同居人による虐待行為の放置など、養護を著しく怠ること。
または、高齢者を擁護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
・心理的虐待:
高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応
その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
・性的虐待:
高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
・経済的虐待:
高齢者の財産を不当に処分すること
その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
3. 施設が取り組む具体的な対策
義務化により施設が取り組む対策を以下にまとめました。
具体的な対策
・虐待防止計画の策定:
各施設は、虐待防止に関する具体的な方針を持ち、
リスク管理や緊急対応を明確にした計画を策定する必要があります。
・職員研修の実施:
全職員を対象とした定期的な虐待防止研修が求められます。
これにより、虐待の兆候を早期に発見し、適切な対応ができるスキルを養います。
・内部監査と計画見直し:
施設内での監査を定期的に実施し、現行の防止策を評価・改善します。
常に最新のリスク管理が維持されます。
・相談体制の設備:
入所者や家族が虐待を通報できる相談窓口を設け、
迅速な対応ができる体制を整えることが必要です。
4. 義務化による施設への影響

義務化により、施設には新たな運営負担が生じることが予想されます。
計画の策定や研修実施など、追加業務が増える一方で、
これにより施設の信頼性が向上し、地域社会との結びつきも深まります。
また、外部評価や監査も義務化の一環として含まれるため、透明性の高い運営が求められます。
5. 高齢者虐待防止の意義

この義務化は、高齢者が尊厳を持って暮らせる環境を確保するための大きな一歩です。
職員の意識改革が促進され、虐待リスクの早期発見と防止が可能になることで、施設全体のケア品質が向上します。
さらに、地域社会や入所者家族からの信頼を得ることで、施設運営の持続可能性が高まるでしょう。
まとめ
介護施設がこの法改正により適切な対応を進めることは、入所者と職員双方にとって安心できる環境作りの基盤となります。
施設はこれを機に、さらなる改善と発展を目指す必要があります。
次回は身体拘束及び高齢者虐待防止に関する研修についてご紹介します。